住まいのレポート~他人事でない相続の悩み
2023年06月13日
他人ごとではない相続の悩み
不動産業を営んでいると、相続についてのご相談をお受けすることがあります。
ご相談内容で多いのが、ご両親が亡くなられて実家の土地建物をどうすれば良いかといったご相談です。
お子様二人で相続される場合、実家を売却して現金化して均等に分配すれば問題ないのですが、仮に一人が実家に住んでいた場合は、売却するという事は住む場所を失うことになりますので簡単にはいきません。また相続する預貯金があれば土地建物の評価額の2分の1相当分の現金を渡せばよいのですが、実家を相続する人の預貯金が少ない場合はそれも出来ません。
親が生きているときは「私たちに限って相続でもめることはない」と思っていても、現実に相続問題に直面するといろいろな問題が持ち上がってきてトラブルになる事があります。また、きょうだいの仲が良く双方が納得しても、言葉は悪いですが、それぞれの配偶者がしゃしゃり出てきてトラブルになる事もあります。
相続人の間で解決できない場合は、訴訟での解決が選択肢になりますが、身内で感情的なしこりが残ってしまいますので出来れば訴訟は避けたい所です。
こうしたトラブルは相続財産の多い少ないは関係なく起こり得ます。遺言状があるとある程度のトラブルは回避できますので、生前に親きょうだいとよく話し合っておくことをお勧めします。
私の相続問題
ご相談を受けるたびに「相続って大変だなぁ」と思ったものですが、これがまさかわが身に起こるとは!
少し特殊な例となりますが、私の相続問題についてお話しさせて頂きます。
先日私の父が亡くなり、相続問題が持ち上がりました。私の実母は既に亡くなってますが、父が再婚したため、相続人は義母ときょうだい3人です。
実家は九州の片田舎で義母が住んでいます。私は愛知県、きょうだい2人は東京に住んでいて、3人とも実家に帰る予定はありません。
大した財産はありませんが、色んなトラブルを見てきた経験から、父には遺言状を残すことを生前から勧めていたため、公正証書として登記してありました(私は内容は知りません)。
遺言書
父が亡くなったので、公正証書の内容を確認して少々びっくりしました。
細かい内容は省きますが「財産のすべてを妻に相続する」となっていたからです。
まぁ預貯金もほとんどありませんし、財産と言えば住むつもりもない実家の土地建物だけですから、私としては特に不満もないのですが、きょうだい全員がそう思うとは限りません。
父が残した財産を一切受け取れないことに不満を持つかもしれませんし、自分たちが育った実家を後妻の方に渡すということにも抵抗があるかもしれません。
本来であればきょうだい3人が父の面倒を見なければなりませんが、ここ数年はコロナ禍もあり実家に帰る事もほとんどなく、再婚後に年老いた父の面倒をずっと見てもらっていた義母には感謝しかありません。
確かに全員が納得出来る遺言の内容ではありませんが、出来るだけ揉めないようにするべく、九州に行ったり東京に行ったり、司法書士の先生に相談したりと大変です。相続の件できょうだいの仲が悪くなるのは避けたいですからね。
遺留分請求
遺言で「財産のすべてを妻に相続する」となっていても、残された相続人は「遺留分請求」の権利があります。
私の父の場合、相続人は妻と子3人ですので、子には12分の1の「遺留分請求」が出来ます。
私は「相続放棄」をする手続きをしますが(えらそうに「相談放棄」すると言っていますが、預貯金が多ければ「遺留分請求」をしたかもしれません)、この「遺留分請求」をするかどうかは相続人次第となります。
「相続放棄」の期限は3ヶ月、「遺留分請求」の期限は1年。早く解決してスッキリしたいものです。
まとめ
私の場合、遺言状があったとしてもこの有様です。
なかったらもっと大変なことになっていたと思います。
いくら仲の良い家族であっても、子供の方からはお金の話や相続の話はなかなか切り出せないものです。出来れば被相続人であるご両親から話をするのが良いでしょうね。