令和4年度税制改正速報~自由民主党発表~
2021年12月21日
【令和4年度税制改正に関する速報】
自由民主党より発表された、令和4年度税制改正について
不動産業界に関連する事項についてまとめたものです。
政党発表の資料ですので、内容が堅苦しく、分かりにくい部分もありますが、
それぞれの下部に「ポイント」としてまとめてあります。
「ポイント」は購入者に有利なものは「黄文字」で、
不利なものは「赤文字」で記載しましたので、参考にしてください。
なお、この税制改正は、国会で法案可決されて正式決定となります。
1.土地の固定資産税等に係る所要の措置
令和3年度の評価替えに伴い税額が上昇する全ての土地につき、令和2年度税額に据え置かれている固定資産税等の来年度の取り扱いについて,新型コロナウイルス感染症の状況、経済状況、地価動向等を踏まえ,負担軽減のために必要な所要の措置を講じること
令和4年度は、商業地における課税標準額の増加を評価額の5%→2.5%に抑制(税額上昇分を半減)する措置が講じられます
2.適用期限を迎える各種税制特例措置の延長等
(1) 住宅用家屋に係る登録免許税の軽減錯置の延長
住宅用家屋の所有権移転登記等に係る登録免許税の軽減税率(令和4年3月31日)を延長すること
ポイント
築年数要件が廃止され、昭和57年以降に建築された住宅は新耐震基準に適合するものとみなす緩和がなされたうえで、令和6年3月31日まで2年間延長されます
2.(2)新築住宅の固定資産税の減額措置の延長
新築住宅に係る固定資産税を3年間(マンションについては5年間)2分の1に減額する特例措置の適用期限(令和4年3月31日)を延長すること
ポイント
令和6年3月31日まで2年間延長されます
なお、一定の住宅は適用対象から除外されます
2.(3)不動産取得税に係る特例措置の延長
新築住宅用土地の軽減措置を受ける場合の、土地取得後住宅新築までの期間要件を3年(原則:2年)とする持例措置及ぴ新築住宅に係る宅建業者のみなし取得日を住宅新築から1年を経過した日(原則:6か月)とする特例措置の適用期限(令和4年3月31日)を延長すること
ポイント
令和6年3月31日まで2年間延長されます
2.(4)買取再販の住宅用家屋における登録免許税の軽減措置の延長
宅建業者により一定の質の向上のための改修工事が行われた中古住宅を取得した揚合における登録免許税の特例措置(所有権移転登記:一般住宅0.3%⇒0.1%)の適用期限(令和4年3月31日)を延長すること
ポイント
築年数要件が廃止され、昭和57年以降に建築された住宅は新耐震基準に適合するものとみなす緩和がなされたうえで、令和6年3月31日まで2年間延長されます
2.(5)居住用財産の譲渡に係る各種特例措置の延長
居住用財産の譲渡に係る以下の特例措置の適用期限(令和3年12月31日)を延長すること
①居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及ぴ繰越控除の特例
②特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
③特定の居住用財産を買換え等した場合の譲渡益課税の繰延制度
ポイント
令和5年3月31日まで2年間延長されます
2.(6)その他適用期限を迎える各種税制特例措置の延長
①住宅ローン減税制度
制度見直しのうえ、以下の措置が講じられます
ポイント
適用期限:4年間延長(令和7年12月31日まで)
控除率:一律0.7%に引き下げ
床面積要件:50㎡(新築の場合、令和5年までに建築確認:40㎡(所得要件1000万円以下))
所得要件:合計所得金額2,000万円以下
控除期間:新築住宅・買取再販においては,原則13年(既存住宅は10年)
築年数要件:昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)に緩和
※上記以外の場合は耐震基準に適合する証明が必要
借入限度額:以下の通り
2.(6)
②不動産の譲渡に係る印紙税の軽減措置
ポイント
令和6年3月31日まで2年間延長されます
③住宅の耐震、バリアフリー、省エネ改修工事に係る固定資産税の特例措置
令和6年3月31日まで2年間延長されます。なお、省エネ改修工事については築年数要件が見直されます
④長期優良住宅普及の促進に関する法律に基づく認定長期優良住宅を新築した場合における特例措置(登録免許税、不動産取得税、固定資産税)
令和6年3月31日まで2年間延長されます
⑤都市の低炭素化の促進に関する法律に基づく認定低炭素住宅を新築した場合における登録免許税の特例措置
令和6年3月31日まで2年間延長されます
⑥老朽化マンションの建替え等の促進に係る特例措置(登録免許税、不動産取得税)
令和6年3月31日まで2年間延長されます
⑦都市のスポンジ化対策のための特例措置(登録免許税、不動産取得税、固定資産税等)
令和6年3月31日まで2年間延長されます
⑧直系尊属から住宅取得等資金贈与を受けた場合の非課税措置(贈与税)
ポイント
非課税限度額が最大1,000万円(質の高い住宅)となり、
築年数要件が緩和されたうえで、令和5年12月31日まで2年間延長されます
⑨住宅取得等資金を受けた場合の相続時精算課税制度(贈与税)
ポイント
築年数要件が廃止され、昭和57年以降に建築された住宅は新耐震基準に適合するものとみなす緩和がなされたうえで、令和5年12月31日まで2年間延長されます
3.住宅ローン控除及び各種特例措置等の要件の緩和
築年数要件の廃止
住宅ローン控除、登録免許税の特例、住宅取得資金等贈与制度等の築年数要件(20年または25年)を廃止し、昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた住宅又は耐震基準適合証明がなされたものを特例の適用対象とすること
ポイント
住宅ローン控除、登録免許税の特例、住宅取得資金等贈与制度等について、築年数要件が廃止され、昭和57年以降に建築確認を受けた住宅は新耐震基準に適合するとみなす緩和がなされます
4.所有者不明土地等の発生抑制及び利活用の促進のための税制措置
所有者不明土地の円滑な利活用を図り、また、所有者不明土地の発生抑制につなげるため、以下の措置を講じること
地域福利増進事業の対象事業の拡充に伴う所要の措置
所有者不明土地を利用して地域のための事業を行うことを可能とする「地域福利増進事業」について,対象事業拡充に伴う所要の措置を講じること
以下の通り、特例措置の対象が拡充されます
地域福利増進事業の対象となる事業等の拡充
○備蓄倉庫等の災害対策に関する施設の整備に関する事業
○地産地消等に資する再生可能エネルギー発電設備の整備に関する事業等
5.その他住宅取得支援策について
こどもみらい住宅支援事業(令和3年度補正予算成立が前提)
ポイント
一定の省エネ性能を有する住宅の新築や一定の要件を満たすリフォームを行う場合、以下所定の補助金を交付する
【制度概要】
◇新築は、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とし、最大100万円の補助金を交付
◇リフォームは、全ての世帯を対象とし、最大30万円の補助金を交付(子育て世帯・若者夫婦世帯の場合等に上限引上げの特例あり)
◇補助金の交付は、住宅を整備・分譲する事業者の申請に基づき、住宅の取得・リフォームを行う方に補助金金額分が還元されることを条件に、当該事業者に対して補助金を交付
◇令和3年11月26 日 から令和4年10月31日までに契約の締結等を行い、住宅を整備・分譲する事業者が所定の手続により事務局(今後国が選定)の登緑を受け、その後に着工したものが対象
まとめ
住宅購入を予定されている方にとっては、
「住宅ローン減税」の改正が最も気になるところかと思います。
適用期限が4年間延長され、控除期間も3年間延長されたのは良いのですが、
控除率が0.7%に引き下げられ、住民税控除も減額になったのは残念です。
住宅の種別によって、借入限度額が異なるのが分かりにくいですが、
購入予定の物件の住宅種別については、物件の担当者に確認してください。
その他、今のところ「すまい給付金」は廃止予定です。
(閣議決定で復活するかもしれません。決まりましたらお知らせします)
新設の「こどもみらい住宅支援事業」は金額の大きな補助金制度です。
「住宅ローン減税」だけでなく、
ご自身がどのような控除・補助を受けるのかを確認してください。
通常は、何も聞かなくても不動産業者の担当者が教えてくれますが、
運悪く知識のない方にあたってしまったら、担当を変えてもらうか、
不動産業者さん自体を変えた方がいいでしょう。
なお、住宅ローン減税については、以下のブログでも解説しています。
合わせてご覧ください。